最終更新: 2025-12-24
「とりあえず会社を作ればいいんでしょ?」 そう思って適当に法人を作ると、後で定款変更の手間やコストがかかったり、融資で不利になったりします。 障害福祉事業における「法人格」の選び方と、設立時の注意点を解説します。
1. なぜ法人が必要なのか?
障害福祉サービス事業の指定(許可)を受けるための要件の一つに、 「法人格を有すること」 があります。 つまり、個人事業主として開業することはできません。必ず何らかの法人を設立する必要があります。
2. 法人格の選び方(4つの選択肢)
代表的な4つの法人格について、グループホーム運営の視点から比較します。
A. 株式会社
- 特徴: 最も一般的で、社会的信用が高い。
- メリット: 融資や採用で有利になりやすい。将来的な事業拡大や上場も視野に入れられる。
- デメリット: 設立費用が高い(約20〜25万円)。役員の任期があり、重任登記の手間がかかる。
- 向いている人: ビジネスとして規模拡大を目指す人。
B. 合同会社(LLC)
- 特徴: 株式会社よりも設立が簡単で安価。
- メリット: 設立費用が安い(約6〜10万円)。決算公告の義務がない。役員の任期がない。
- デメリット: 株式会社に比べると知名度が低い(採用で少し説明が必要かも)。
- 向いている人: 初期コストを抑えたい人。家族経営など小規模で始める人。
C. 一般社団法人
- 特徴: 「非営利」のイメージがあるが、収益事業も可能。
- メリット: 設立費用が安い(約11万円)。「福祉=非営利」というイメージと親和性が高い。
- デメリット: 設立時に理事が2名以上必要(※非営利型の場合など要件による)。
- 向いている人: 地域貢献や社会性を強くアピールしたい人。
D. NPO法人(特定非営利活動法人)
- 特徴: ボランティアや市民活動の延長。
- メリット: 設立費用がほぼかからない(0円〜)。社会的信用が非常に高い。
- デメリット: 設立に時間がかかる(認証まで3〜4ヶ月)。事務手続きが煩雑(毎年の事業報告など)。
- 向いている人: 時間がかかっても、地域密着で信頼を積み重ねたい人。
3. 絶対に外せない「定款の目的」
法人を設立する際、定款(会社のルールブック)の「事業の目的」欄に、必ず以下の文言を入れてください。
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業」
この文言が入っていないと、指定申請が通りません。 後から追加するには「定款変更」の手続きが必要になり、登録免許税(3万円)と司法書士報酬がかかってしまいます。 最初から入れておくのが鉄則です。
4. 設立のタイミング:物件探しとの兼ね合い
「物件が決まってから法人を作る」か「法人を作ってから物件を探す」か。 正解は 「並行して進めるが、設立は物件契約の直前」 が理想です。
- 物件探し(個人名義で動く): 「法人設立予定」として不動産屋と交渉します。
- 物件の目星が付く: 契約の目処が立ったら、急いで法人設立を完了させます。
- 法人名義で契約: 賃貸借契約は、最初から法人名義で結ぶのがスムーズです。
※個人で契約してから法人に名義変更することも可能ですが、手数料がかかったり、大家さんに嫌がられたりすることがあります。
まとめ:ビジョンに合った器を選ぼう
「安く作れるから合同会社」「信用がありそうだから株式会社」という選び方でも間違いではありません。 しかし、大切なのは 「将来どうなりたいか」 です。
- 多店舗展開して上場を目指すなら株式会社。
- 地域に根差して堅実にやるなら合同会社や一般社団法人。
自分の事業ビジョンに合った「器」を選んでください。 迷ったら、福祉に詳しい行政書士や税理士に相談することをお勧めします。
