Step 1

基礎知識(制度・収益モデル)

「グループホームとは?」から、儲かる仕組みまで解説します。

ようこそ。このページを開いたあなたは、きっと「グループホーム(共同生活援助)って、実際どうなんだろう?」と関心を持たれているのだと思います。

制度の言葉は難しく、ネットの情報は断片的で、全体像をつかむのは大変ですよね。 このページは、 「制度を知らない人が、自信を持って第三者に説明できる」 レベルまで、あなたの理解を引き上げるためのガイドです。

対象は、開設を目指す方や投資家の方だけではありません。ご家族、支援者、学生さん、行政の方など、 「これから知りたい」すべての方 に向けて書きました。

このページで一緒に見ていくこと

  • そもそも何のためにあるの?(成り立ち・歴史)
  • 実際の現場ではどんな時間が流れているの?(利用実態・運営のリアル)
  • お金はどう回っているの? どこがリスクなの?(収益モデル)

最終更新: 2025-12-24

根拠(一次情報・入口) ※少し難しい資料も含まれますが、迷ったときに立ち返る場所として置いておきます。


0. このページの地図

グループホームは「福祉の制度」であり、「住まいの事業」であり、何より「人の暮らし」です。 これらが複雑に絡み合っているため、説明がバラバラになりがちです(制度の話だけ、お金の話だけ、になりやすいのです)。

このページでは、それらをひとつのストーリーとして繋げます。

目次

    1. 共同生活援助の全体像
    1. 歴史と背景:なぜ制度が必要なのか
    1. 利用者の暮らしと一日の流れ
    1. 収益モデルとお金の流れ
    1. 運営のリアル:現場で起きること
    1. 開設・運営の3つの壁
    1. よくある誤解とこれからの課題

1. 共同生活援助の全体像

共同生活援助(障害者グループホーム)を一言でいうと、障害のある方が地域で自分らしく暮らすための 「住まい」と「安心(支援)」のセット です。

「施設」というと少し閉鎖的なイメージがあるかもしれませんし、「一人暮らし」というと不安があるかもしれません。 その中間にあって、 「生活の場(住まい)」に「人の手(支援)」をそっと重ねたもの 、とイメージしてください。

関わる人と役割(代表例)

  • 利用者: ここで暮らす主人公です。
  • 世話人・生活支援員: 日常生活を支えるスタッフです。食事を作ったり、相談に乗ったり、家族のような、でもプロとしての距離感で支えます。
  • サービス管理責任者(サビ管): 支援の司令塔です。「どんな暮らしがしたいか」を計画にし、チーム全体を導きます。
  • 相談支援専門員: グループホームの外から、福祉サービス全体の利用を調整するパートナーです。
  • 自治体・指定権者: ルールを守って運営されているかを見守り、指導する行政機関です。

ここで大切なのは、 「暮らし」と「制度」が直結している ということ。 スタッフがどう関わり、どんな記録を残し、どう連携したか。それがそのまま、事業所の信頼や収益につながっていきます。


2. 歴史と背景:なぜ制度が必要なのか

「なぜグループホームが必要なのか?」 その答えは、障害のある方々の「当たり前の暮らし」を取り戻す歴史の中にあります。

かつては、障害のある方は「施設」や「病院」で暮らすのが一般的でした。 しかし、「障害があっても、住み慣れた地域で、自分らしく暮らしたい」という当たり前の願いを実現するために、制度が変わってきました。

歴史の大きな流れ

  1. 施設から地域へ: 大規模な施設ではなく、街の中で暮らす方向へ(地域移行)。
  2. 「一人暮らし」と「施設」の間: いきなり一人暮らしは不安だけど、施設には戻りたくない。その受け皿としてグループホームが広がりました。
  3. 多様化するニーズ: 利用される方の高齢化や、医療的ケアが必要な方、行動上の課題がある方など、より手厚い支援が必要なケースが増えてきました。

なぜ「歴史」を知る必要があるの? それは、「これから求められるグループホーム像」 が見えるからです。 制度は常に、「今の社会課題」を解決するために変化します。 「ただ部屋があればいい」時代は終わり、今は「質の高い支援」や「重度の方への対応」が求められています。 この流れを理解しておくと、長期的な運営の安定につながります。


3. 利用者の暮らしと一日の流れ

利用者さんやご家族にとって、グループホームは単なる「住居」ではありません。 そこは、「安心して自分らしくいられる場所」 であり、「社会とつながる拠点」 です。

一日の流れ(ある日の風景)

「生活の場」ですから、毎日決まったスケジュールがあるわけではありません。 でも、イメージが湧きやすいように、典型的な2つのパターンを見てみましょう。

ケースA:知的障害(軽度〜中度)で、お仕事をされている方の場合

どんな暮らし?: 平日はお仕事に行き、休日は趣味を楽しむ。自立度の高い、社会人らしい生活です。

時間 利用者さんの動き スタッフの関わり(ここが大切!)
6:00 起床、着替え、洗面 「おはよう」の声かけ: 起きるのが苦手な方には、優しく声をかけます。
顔色チェック: 「今日は元気かな?」とさりげなく体調を確認します。
7:00 朝食、服薬、歯磨き お薬の確認: 飲み忘れがないか、対面でしっかり見守ります。これが健康を守る命綱です。
8:00 仕事へ出発 送り出し: 「いってらっしゃい!」と明るく送り出します。この一言で、一日が頑張れます。
その後、スタッフは戸締まりや記録を行います。
9:00 (職場や作業所で活動) 日中業務: 利用者さんがいない間に、掃除や洗濯、夕食の準備、事務作業などを進めます。
※日中支援型以外は、スタッフも休憩や中抜けの時間になります。
16:00 帰宅 「おかえりなさい」: 帰ってきた時の表情で、「今日何かあったかな?」と察知します。
18:00 夕食、団らん 食事のひととき: 好き嫌いや、飲み込みにくそうにしていないかを見守ります。
今日あった出来事を聞いたり、相談に乗ったりする大切な時間です。
20:00 入浴、自由時間 お風呂のサポート: 声かけだけで大丈夫な方もいれば、洗髪などのお手伝いが必要な方もいます。
明日の準備も一緒に確認します。
22:00 就寝 夜の見守り: 皆さんが寝静まった後も、定期的に巡回して安否を確認します。

ケースB:精神障害で、少し体調が不安定な時期の方の場合

どんな暮らし?: 生活リズムを整えるのが目標です。日中もホームで過ごすことがあり、服薬の調整や心のケアが中心になります。

時間 利用者さんの動き スタッフの関わり(ここが大切!)
10:00 ゆっくり起床 安否確認: 起きてこられない時は、お部屋を訪ねて様子を見ます。
無理強いはせず、でも生活リズムが崩れすぎないように、そっと介入します。
12:00 昼食(ホームで) お昼のサポート: 日中もホームで過ごす場合、昼食を提供します。
お薬の確認も忘れずに。
14:00 自室で休憩 / 通院 通院への同行: 病院へ一緒に行き、普段の様子を医師に伝えます。
お薬が変わったら、管理簿を更新して間違いがないようにします。
19:00 夕食、服薬 服薬のサポート: お薬の副作用で眠気が出たりすることもあります。様子をよく観察します。
「飲みたくない」という気持ちに寄り添うこともあります。
23:00 不安で眠れない… お話を聞く(傾聴): 「眠れない」「不安だ」という訴えを、否定せずに聞きます。
必要に応じて、頓服薬(とんぷく)の使用を提案することもあります。

ケースC:行動面の課題が強い方や、手厚い見守りが必要な方の場合

どんな暮らし?: 「いつも通り」の環境が安心につながります。スタッフは、安全を守ることと、パニックにならないような環境づくりに注力します。

場面 起こりやすいこと スタッフの動き(プロの技)
帰宅直後 興奮や不安 まずは落ち着けるスペースを確保します。いつものルーティンに戻れるよう、静かに誘導します。
食事・入浴 こだわりや拒否 無理強いは禁物です。時間をずらしたり、やり方を変えたりして、本人が納得できる方法を探ります。
夜間 眠れない、歩き回る 夜勤スタッフが一人で抱え込まないよう、緊急時の連絡体制を整えておきます。

休日と緊急時(ここが運営の踏ん張りどころ)

休日は楽しい時間ですが、生活リズムが変わりやすく、トラブルが起きやすいタイミングでもあります。

  • 休日の支援: 外出の付き添い、余暇のサポート、お小遣いの管理、ご家族への連絡など、平日とは違う忙しさがあります。
  • 緊急時の対応: 急な発熱、怪我、ご近所トラブル…。そんな時こそ、スタッフの連携と事前の準備(マニュアルや連絡網)が物を言います。

現場スタッフ(世話人さん)のリアルな声

「仕事内容は『名もなき家事』の連続です。掃除、洗濯、献立作り…。でも、帰ってきた利用者さんの『ただいま!』の笑顔を見ると、ここが彼らの『家』なんだなって実感します。」

「夜勤はやっぱり緊張します。もし何かあったら…と。だからこそ、日頃から利用者さんの様子をよく見て、小さな変化に気づけるようにしています。」

利用の目的と場面

ざっくり言うと、こんなふうに使われています。

  • 日中: 仕事や作業所に行き、社会と関わります。
  • 夕方〜朝: ホームに帰ってきて、ご飯を食べ、お風呂に入り、安心して眠ります。
  • 困った時: 悩み事やトラブルがあった時、すぐに相談できるスタッフがそばにいます。

共同生活援助は、単なる「場所貸し」ではありません。 「一人ではない安心感」 を提供するサービスなのです。

これだけは知っておきたい用語

  • 共同生活住居 / ユニット: ひとつの「家」の単位です。定員や職員配置の基準になります。
  • 定員: 入居できる人数です。収益だけでなく、職場の雰囲気やスタッフの負担にも関わります。
  • サビ管(サービス管理責任者): 支援計画を作るリーダー。運営の要(かなめ)です。
  • 世話人 / 生活支援員: 現場を支えるスタッフ。彼らの笑顔が、ホームの雰囲気を作ります。

4. 収益モデルとお金の流れ

「福祉事業だから、儲けの話はしにくい…」 そう思うかもしれませんが、事業として継続できなければ、利用者さんの生活を守ることもできません。 ここでは、綺麗事抜きで「お金のリアル」を見ていきましょう。

4-1. 収入は大きく3つに分かれる

  1. 障害福祉サービス費(報酬): 国・自治体から入るメインの収入です。
  2. 利用者負担: 利用者さんから頂く利用料(原則1割負担ですが、所得により上限があります)。
  3. 実費(家賃・食費・光熱水費): 生活にかかるコストです。

ここがポイント! 「実費」は、そのまま経費として出ていくお金です(右から左へ)。 事業の利益になるのは、主に 「1. 障害福祉サービス費」 です。ここをどう最大化し、安定させるかが経営の鍵になります。

補足:家賃の補助について 利用者さんの負担を減らすために、国から「特定障害者特別給付費(月額1万円)」が出たり、自治体独自の助成があったりします。 これは事業者の利益にはなりませんが、「利用者さんが無理なく住み続けられるか」 に直結するため、非常に重要です。

4-2. 報酬(サービス費)の仕組み

報酬の計算式は、ざっくり言うとこうなります。

報酬 = 「基本報酬」 + 「加算(ボーナス)」 − 「減算(ペナルティ)」

  • 基本報酬: どんな建物のタイプで、どんな障害区分の方を、何人受け入れているかで決まる「ベース給」です。
  • 加算: 「手厚い人員配置をした」「夜勤スタッフを置いた」など、プラスアルファの頑張りに対する「ボーナス」です。
  • 減算: 「スタッフが足りない」「計画書を作っていない」など、ルール違反に対する「ペナルティ」です。

投資家・経営者へのアドバイス 「加算(ボーナス)」頼みの経営は危険です。まずは「基本報酬」だけでトントン(損益分岐点)になるように設計しましょう。加算はあくまで、質の向上や利益の上乗せとして考えるのが安全です。

4-3. 収益シミュレーション:目安として

数字がないとイメージしにくいですよね。 令和6年度の報酬単価を使って、ざっくり計算してみましょう。

モデルケース

  • 形態: 日中サービス支援型(24時間スタッフがいる手厚いタイプ)
  • 定員: 4名(満床と仮定)
  • 利用者: 全員が「障害支援区分4」
  • 基本報酬: 771単位/日(1人あたり)

月間の報酬額(30日計算)

771単位 × 4名 × 30日 = 92,520単位/月

これを円に換算します(地域によって単価が違います)。

地域 単価 月商(報酬のみ)
東京23区など(1級地) 11.12円 約 1,028,800 円
地方都市など(7級地) 10.00円 約 925,200 円

ここから読み取れること

  1. 場所で変わる: 同じことをしても、地域によって売上が10万円以上違います。家賃相場とのバランスが重要です。
  2. 「区分」の影響: もし利用者の障害区分が軽度(区分2や3)だと、単価はもっと下がります。
  3. 人件費の壁: この約100万円から、24時間365日を回すスタッフの人件費、家賃、光熱費を払います。…結構シビアですよね? だからこそ、綿密な計画が必要なのです。

4-4. 加算と減算:天国と地獄

基本報酬だけでは厳しい経営も、「加算」をうまく組み合わせることで安定します。 逆に、「減算」は経営を揺るがす大ダメージになります。

狙うべき「加算」(ポジティブ要素)

これらは「取れたらラッキー」ではなく、「最初から取るつもりで体制を組む」 ものです。

  • 夜間支援等体制加算: 夜勤スタッフを置くと入ります。金額が大きく、多くのホームで必須級です。
  • 人員配置体制加算: 基準より多くスタッフを配置すると入ります。手厚い支援を評価するものです。
  • 福祉・介護職員等処遇改善加算: スタッフの給料を上げるための加算です。これを取らないと、良い人材は集まりません。

絶対に避けるべき「減算」(ネガティブ要素)

これらは「うっかり」では済まされません。

  • 人員欠如減算: スタッフが足りない状態。報酬がガクンと減ります。
  • サビ管欠如減算: サービス管理責任者がいない状態。これも大打撃です。
  • 個別支援計画未作成減算: 支援の計画書がない、更新していない。実地指導で必ずチェックされます。

4-5. 3つの提供形態

グループホームには、大きく分けて3つのタイプがあります。 「誰が介護(お風呂やトイレの介助)をするか」で分かれます。

  1. 介護サービス包括型: 「全部うちでやります」
    • ホームのスタッフが、生活支援も身体介護も行います。
    • 最も一般的ですが、スタッフの採用・教育が大変です。
  2. 外部サービス利用型: 「介護はプロにお任せ」
    • ホームのスタッフは家事や相談がメイン。身体介護は外部のヘルパーさんにお願いします。
    • スタッフの負担は軽いですが、外部との連携(スケジュール調整など)が肝になります。
  3. 日中サービス支援型: 「24時間いつでも安心」
    • 昼も夜もスタッフが常駐します。重度の方や高齢の方も受け入れやすいです。
    • 報酬は高いですが、人件費もかさみます。

どれを選べばいい?

  • 「日中もホームにいる方が多い」なら → 日中サービス支援型
  • 「日中は仕事に行っている」なら → 介護サービス包括型外部サービス利用型

4-6. キャッシュフローの罠:入金は遅れてやってくる

ここが一番の落とし穴です。 サービスを提供しても、すぐにお金が入ってくるわけではありません。

「2ヶ月遅れ」の法則 4月にサービスを提供しても、入金されるのは 6月末 です。 つまり、オープンしてから最初の入金があるまで、約3ヶ月間は収入ゼロで、家賃や人件費を払い続けなければなりません。 この期間を乗り切れる「運転資金」がないと、黒字倒産してしまいます。

さらに怖い「返戻(へんれい)」 請求書類にミスがあると、国保連から「やり直し!」と突き返されます。これを「返戻」と言います。 修正して再請求すると、入金はさらに1ヶ月遅れます。 「N+3ヶ月」 の入金になっても耐えられますか?

投資家が見るべきポイント

  • 返戻が起きた時、すぐに修正できる事務能力があるか?
  • 満床になるまでの数ヶ月間、持ちこたえられる資金体力があるか?

4-7. 収益が崩れる典型パターン

  • 想定より埋まらない: 「開ければ埋まる」は昔の話。営業努力が必要です。
  • スタッフが辞めていく: 人が足りず、減算になり、さらに現場が疲弊する…という負のスパイラル。
  • 事務ミスで入金されない: 現場は回っているのに、請求業務が追いついていない。

5. 運営のリアル:現場で起きること

綺麗な事業計画書には書かれていない、現場の「生々しい現実」をお伝えします。 これを知っているかどうかで、トラブルへの耐性が変わります。

5-1. 人材は“配置”より“定着”が難しい

採用できたから安心、ではありません。 「思っていた仕事と違う」「人間関係が…」と、スタッフが辞めてしまうことは珍しくありません。 特に夜勤は負担が大きく、急な欠勤が出ると、管理者が代わりに泊まり込むことになります。 「スタッフを大切にする」 ことが、結局は一番のリスクヘッジになります。

5-2. 支援の質は「記録」と「連携」に出る

「今日は元気でした」だけの記録では、何も伝わりません。 「夕食時に〇〇の話をして笑顔が見られた」「少し食欲がなさそうだった」といった具体的な記録が、次の支援につながります。 また、ご家族や相談支援専門員への「報・連・相」がしっかりできているホームは、信頼され、紹介も増えます。

5-3. トラブルは“派手な事故”より“日常のほころび”から

大きな事故はいきなり起きません。 「最近、服薬を嫌がるな」「利用者さん同士、口数が減ったな」といった小さなサインを見逃すと、ある日突然、大きなトラブル(退去やクレーム)として爆発します。

5-4. 請求・返戻は「現場の通信簿」

返戻(請求ミス)が多い事業所は、単に事務が苦手なだけではありません。 「現場の記録と、請求の内容が合っていない」ことが多いのです。 つまり、現場の管理がずさんである証拠かもしれません。 投資家の方は、「返戻率はどれくらいですか?」「その原因は何でしたか?」 と聞いてみるのも良いでしょう。


6. 開設・運営の3つの壁

「よし、やろう!」と思った時に立ちはだかる、3つの高い壁があります。

物件の壁:建物・消防・用途

「普通の家だから大丈夫でしょ?」 いいえ、グループホームとして使うには、厳しい基準があります。

建築基準法の壁

  • 200㎡問題: 延床面積が200㎡を超えると、「用途変更」という大変な手続きが必要になります(費用も時間もかかります)。
  • 法改正: 2025年の改正で、木造住宅の審査が厳しくなります。リフォームのハードルが上がる可能性があります。

消防法の壁

  • スプリンクラー: 原則として設置義務があります(面積や条件によりますが)。これだけで数百万円かかることも…。
  • 自動火災報知設備: 一般住宅用ではなく、施設用のしっかりしたものが必要です。

アドバイス: 物件を決める前に、必ず建築士や消防署に相談してください。「契約したけど工事費が高すぎて断念」というのが一番痛いです。

まず確認する順番(失敗しないために)

  1. 物件候補を見つける: 図面や面積を確認。
  2. 消防署に相談: 「ここでグループホームをやりたいのですが、どんな設備が必要ですか?」
  3. 建築士・役所に相談: 「用途変更は必要ですか? 建築基準法はクリアできますか?」
  4. 指定権者(自治体)に相談: 「この場所、この人員配置で指定取れますか?」
  5. 工事・申請: ここまで確認して初めて、工事や申請に進みます。

人員の壁:採用難

「サビ管(サービス管理責任者)」が見つからない。これが最大の難関です。 資格要件が厳しく、なり手が不足しています。 「サビ管さえいればオープンできるのに…」と、家賃だけを払い続けている事業所も少なくありません。

コンプライアンスの壁:実地指導

数年に一度、行政によるチェック(実地指導)が入ります。 ここで不正や不備が見つかると、報酬の返還(数百万〜数千万円!)を求められることもあります。 「知らなかった」は通用しません。日々の記録と法令遵守が、自分たちを守る盾になります。


7. よくある誤解とこれからの課題

最後に、よくある「勘違い」を解いておきましょう。

誤解1:「満床になれば勝ち」

満床はゴールではなく、スタートです。 満床になっても、運営がボロボロなら、すぐに退去が相次ぎます。 「また戻ってきたい」「ここなら安心」と思ってもらえる運営を続けることが、本当の勝ちです。

誤解2:「加算を積めば儲かる」

加算は、それに見合う「コスト(人件費や手間)」がかかります。 無理に加算を取ろうとして現場がパンクしたら、元も子もありません。 まずは基本報酬でしっかり回すこと。加算は、余裕が出てきてからの「ご褒美」と考えましょう。

誤解3:「請求は事務仕事」

請求業務は、現場の支援の結果です。 現場スタッフが正しい記録を残し、サビ管が正しい計画を立てて、初めて請求ができます。 「請求は事務員さんに丸投げ」では、いつか必ず破綻します。

過去の教訓 グループホームは急激に増えましたが、その分、「質」の問題も指摘されています。 「虐待」「権利侵害」「囲い込み」…。 こうした悲しいニュースが出るたびに、規制は厳しくなります。 でも、それは 「まじめにやっている事業所が評価される時代」 になったとも言えます。

制度や数字も大切ですが、一番大切なのは 「そこで暮らす人の笑顔」 です。 それを忘れなければ、きっと良いグループホームが作れるはずです。